めまいの原因を突き止め、適切な治療へ
「朝起き上がると、グルグルと目が回ったようになる」
そんなめまいの症状を訴えられる患者様は、数多くいらっしゃいます。
「どうせいつものことだから」と、放っておくと、症状が少しずつ悪化していってしまうこともあります。
めまいが起きたら、なるべく早く医師の診察を受けることが大切です。
めまいの原因は、いったい何?
通常、人は倒れることなく立ち続け、また移動することができますが、それは周囲の空間や自分のいる位置を視覚や音、触覚などで感知しているからです。その感知した情報は脳内で瞬時に統合されて各部の筋肉に命令が伝えられ、バランスをとるために絶妙に体位をコントロールしています。 このような体の仕組みのどこかに異常が起きると、平衡異常がおきます。その症状のひとつとして、めまいが現れてくきます
めまい外来とは?
めまいの裏側には原因があります。ときにはその原因が意外な病気であったりする可能性もあります。
めまい外来では、そうしためまいの原因を問診・診察、さらに精密な検査(重心動揺計、CCDによる眼振検査、純音聴力検査、シャロンテスト、採血検査、更年期指数問診など)によって科学的に突き止め、それぞれの原因(病気)に応じて的確な治療を行うための外来です。 めまいをあまり軽く見てはいけません。放置せず、なるべく早目に医師の診察を受け、適切なアドバイスを受けながら改善していくことをおすすめします。
当院でめまい外来を受けるメリット
- 問診・診察、科学的な検査により、めまいの原因を的確に突き止めることができる
- めまいの改善に向けて、ベストな治療法が選択できる
- セカンドオピニオンも適切に対応
- めまい発作時に外来点滴加療ができる
- 大学病院や総合病院とのしっかりした連携体制がある
めまいを起こす疾患
- 良性発作性頭位めまい症
耳鼻科を「めまい」で受診なさる患者様で一番多くみられる疾患で、特定の頭の位置の変化(例えば寝返りを打った時、頭を洗うために下を向いた時、ベッドから起き上がった時など)により出現するめまいです。
ぐるぐる目が回る感覚が強いため、恐怖感や不安感、吐き気を伴ったりしますが、聴覚トラブルはありません。
耳を原因とするめまいのなかで最も発症数が多いものの、比較的治りやすい疾患です。
内耳にある耳石器(頭や体の傾き具合を感知する器官)から耳石(炭酸カルシウムの結晶から成る組織)が剥がれ、三半規管の中に入り込むことによって発症すると考えられています。 - メニエール病
メニエール病は、めまいを起こす疾患の代表であり、特徴的な症状を呈します。
めまいの発作時に片側の耳鳴り、耳閉感、難聴が一緒に起こり、めまいが消える頃には、それらの症状も軽快・消失します。
厄介なことに、この病気は発作を繰り返し、やがて耳鳴りや高度の難聴が残ることがあります。発作の無い時は、無症状となります。
内リンパ水腫といって、内耳における内リンパ液圧の上昇が原因と言われています。両側に発症することもあります。 - 突発性難聴
メニエール病によく似ていますが、突発性難聴は基本的に難聴のイベントが一度だけで完治すればいいのですが(完治するのは約20%ほど)、完治しないで難聴がの残ってしまうとめまい、耳鳴を繰り返すことが多い点です。この病気の原因は「聞こえ」を司る神経へのウイルス感染や、内耳の血管の血栓(血のかたまり)などが考えられていますが原因不明です。両方の耳に同時発症することは稀です。早く治療を開始すれば聴力が回復する可能性が高いので、とにかく早期に治療することが大切です。めまいが出る時期は発症時の急性期と治らなかった後に繰り返す慢性期の2つに時期に多い印象です。 - 慢性中耳炎
慢性中耳炎が内耳にまで及ぶと内耳炎を併発し、めまいを引き起こします。 - 聴神経腫瘍
片側の耳鳴り、難聴が徐々に悪化し、ふらつき、頭痛、顔が曲がるなどして(顔面神経麻痺)、初めて診断されるケースが多く見受けられます。(両側発症もあり)
精密な聴力検査やめまい検査、MRIを行うことによって診断可能。 - 脳循環障害(椎骨脳底動脈循環不全症)
脳の血流が不足して、めまいに関係する小脳、脳幹の機能が悪くなることによって起こります。
めまいのほかに舌がもつれる、物が二重に見える、手足がしびれるなどの症状が生じることもあります。
激しい頭痛や意識不明などの症状があれば、脳出血が疑われます。
※上記のほかに、脳腫瘍、頭部外傷、薬物による内耳障害、自律神経障害、起立性調節障害、過呼吸症候群、心因 性、更年期障害などが原因となって起こるめまいもあります。
*気象病;低気圧、寒冷前線、台風など(特に来る前)の影響で自律神経の調節に異常をきたし、めまいなど起こる ことがあます
めまいの診断
1.問診
患者様の訴え、お話を注意深く聞くことはたいへん重要であり、問診だけでほぼ診断がついてしまうようなケースも少なくありません。
下記のような内容について、できるだけ詳しくお聞かせください。
いつめまいが起こったか
上を向いた時、横になった時、歩いている時、など
どのようなめまいが起こったか
ぐるぐる回った、ふわふわした、など
どのように経過したか
数分で治まった、数日間もぐるぐる回った、など
めまいに伴った他の症状
耳鳴り、難聴、頭痛、体のしびれや麻痺、物が二重に見えた、など
2.検査
めまいの原因を探る検査です
聴覚検査;聴力(聞こえ)に関する専門的な検査
聴力検査
内耳機能検査
耳小骨筋反射 など
平衡機能検査;めまいに関する専門的な検査
立ち直り反射
遮眼書字検査
眼振検査
重心動揺検査
赤外線CCDカメラ下眼振(特殊な目の震え)検査 など
*CT、MRIが必要な場合は、連携医療機関に撮影を依頼します。
めまいの原因を調べる負荷検査
・カロリックテスト(温度刺激検査)
片方ずつ、お湯または水を外耳道に送り込むことによる検査で、前庭から中枢にかけての平衡感覚機能を判定します。
3.診断
問診、診察、検査から医師が総合的に診断し治療方針を決定します。
めまいのご相談は月曜から土曜日まで受け付けております。院長希望の方は院長診療日にお越しください
重心動揺計検査
重心動揺検査とは、体重心の揺れを測り、そのパターンやデータから、平衡機能を測定するものです。
身体平衡の維持に働く、視覚系、前庭・半規管系、脊髄固有反射系、および、これらを制御する中枢神経系の機能を検査します。
検査方法については、被験者に計測装置をつけることなく、検査台上に起立させるだけで行える検査です。
臨床における、めまい・平衡障害の診断を目的として行われるほか、直立姿勢制御機能の研究、肢体障害者の起立機能の検査、スポーツマンの直立機能の観察、職業適性の検査、疲労の測定などの評価・研究に幅広く利用できます。
当院ではこの検査と独自の解析でめまいの部位、原因など診断に役立てております。
CCDカメラ付き眼振計検査
非注視眼振検査では、頭の位置を左右に動かし、そのつど眼振が現れるかどうかを調べます。そのほか、横になった状態で、耳の中に温水を入れて、眼振が現れるかをみるもことあります。内耳の障害がある人は、非注視眼振検査で眼振が現れやすく、注視眼振検査では眼振が現れにくくなります。また、小脳や脳幹に障害のある人は、双方の検査で眼振が起こります。
当院では赤外線CCDカメラを用いて、眼球の動きを録画する眼振検査が可能です
めまい治療
1.薬物治療
患者さんの状態にあった内服治療、点滴治療が当院では可能です。
発作時は吐き気、嘔吐がありますので内服加療できない状態にあります。従来の医療機関では総合病院に紹介となり患者さんの負担が大きかったのですが、当院では外来で通院点滴加療も受けられます。
2.東洋医学的治療(漢方など)
耳鼻咽喉科と東洋医学に精通した医師による診断、治療が受けられます。
患者さんの全身的な診療により体質の改善、生活習慣の改善などきめ細やかな診療を受けられます。
西洋医学と東洋医学の治療も同時に受けられます。
3.運動療法指導、水分摂取、睡眠方法などの生活指導
4.星状神経節ブロック
突発性難聴に伴うめまいの方は当院で麻酔科専門医による星状神経節ブロック(SGB)が受けられます。保険適応です。